世界の通貨とマネーはこう動く

国際経済の不均衡是正は米国と中国のライフスタイルが鍵。せっせと働いて貯蓄をしたアリ君も、クレジットカードで大量に消費してきた巨大キリギリス君の死亡によりピンチに落ちろうとしている。

世界経済が抱える消費と貯蓄のバランス問題

金を通して今の世界経済を読むと、国際経済不均衡という根源的問題が見えてくる。。国際経済不均衡"とは、米国の過剰消費、中国の過小消費、過剰貯蓄というアンバランスな世界経済構造のことだ。

 

セミナーなどで、イソップ物語のアリとキリギリスに讐え説明をしている。今の世界経済を俯瞰すると、おカネを貯めまくっているアリ組の国々と、おカネを借りまくって人生を楽しんだ挙げ句、そのツケに苦しんでいるキリギリス組の国々に分けられる。

 

アリ組の代表格が中国、日本などアジア勢。そしてドイツ。一方、米国という巨大キリギリス君は断トツの存在感だ。さらにギリシアやPIGS(ポルトガル、イタリア、スペイン)など南欧諸国もこの組の中堅メンバーとなった。

 

アリ組はセッセと働いて倹約に励み、稼ぎはゴツゴツ貯えてきたでも、彼らが大量のモノを輸出して外貨を稼げたのは、キリギリス君たちがクレジットカードを使って買いまくってくれたから。その輸出の代金としてアリ組が受け取ったのは、キリギリス組が発行した借金の証文=国債であった。世界村の名主みたいな米国が発行して皆が有しているので、「いつでも売れる」という安心感からここまで米国債を蓄えてきたわけだ。

 

でも、どう見ても不自然。そもそも名主さんに天文学的に積み上がった借金を返済する意志、あるいは能力があるのか。考えれば考えるほど不安で、いつ取りつけ騒ぎが起こっても不思議ではないほどキリギリス組への信認は薄れてきた。そこで自衛策として金(ゴールド)を戦略的に蓄えるアリ組も出てきた。中国、インド、ロシアなどのBRICS諸国である。

 

キリギリス組の言い分と巨大アリ中国の反論

一方、キリギリス組にも言い分はある。

 

だいたいアリさんたちはおカネを貯め過ぎだ。人の懐ばかりアテにして、自分たちはガッチリ貯金一筋では、世の中は回っていかない。そもそもは僕たちが借金してまで輸入してあげたからこそのアリ組の稼ぎではないか。所詮、持ちつ持たれつなんだから、長い目で見てほしいね。僕たちだって色々反省して、身の丈以上のショッピングは控え、切り詰めるべきところは切り詰める節約の精神を取り入れつつあるんだし。

 

それに、こっちにだって言いたいことはあるんだ。特に巨大アリの中国クンは、人民元という自国通貨を長い間管理して、対ドル相場で高くならないように介入してきた。これはズルイー・ 通貨の取引=為替は自由に、というのが自由主義経済のルール。巨大アリ君だって。解放政策"を採って世界村の一員になったのだから最低限のルールは守ってほしいね。

 

対する、巨大アリ君の反論。

 

僕たちだって堪忍袋の緒が切れかかっているんだ。「ツケの払いはとりあえずこれで受け取ってくれ」とガイトナー君たちが北京にまで出向いて頼むので、ここまで米国債を大量に持ち続けてきた。でも、こんな紙きればかりいつまでも黙って受け取るわけにはいかない。そもそも借金なんて永遠に積み上げていけるものでもない。どこかで臨界点が来る。

 

さあ、ここで巨大アリ君は借金の臨界点が来る前に米国債の見切り売りに踏み切るのか。でも、そんなことをして一番損するのが自分白身であることは百も承知。かといってこのまま放置し、大量発行で価値が薄まるばかりの米国偵と心中するなどご免蒙る。